- 〜古樹がもたらす希少な味わい〜
- 2018年
- 4〜7月の降水量はやや多かったものの長雨が非常に少なく、8月になってから収穫までの降水量はほぼ無い状態、ぶどうにとっては非常に恵まれた年であった。全体的に猛暑で平年と比べると1週間ほど早い成長をみせ、収穫も早めであった。近年になく大変熟した素晴らしい★★★の出来。


テイスティングコメント
色 |
明るくやや濃いルビー色。清澄度・輝き良好で粘性は中程度。 |
香 |
ボリュームは中程度。ラズベリー、イチゴ、プラムなどの赤系果実がふんだんにあり、枯れ葉、キノコなどのアロマに穏やかな樽香が寄り添う。 |
味 |
インパクトのあるアタック。豊富なタンニンは甘味を伴う凝縮した果実味に包まれて、収斂性はそれほど感じない。豊かな酸はやや丸みを帯び、タンニンとともにワインにしっかりした骨格を与え、中盤から終盤にかけて広がる。余韻はやや長めでミディアムボディの辛口。熟成によりタンニンがこなれてくれば更に完成度は上がるだろう。 |
食 |
8月の好天に恵まれ、太陽の恵みをふんだんに受けたスケールの大きなピノ・ノワール。肉料理全般に合うが、鹿などジビエなどが特に相性がよさそう。 |
古樹がもたらした葡萄の魅力
京都の食風土に寄り添う繊細なワイン造りの「丹波ワイン」は、1979年に先代の黒井哲夫氏が一から始めたワイナリー。廃業となった日本酒蔵を引き受け、そこから試行錯誤で手造りして始まります。1980年代にはワインの評価も上がり国際コンテストで受賞多数、特に自社畑で栽培する葡萄から造られる特別品には、近年目の利くファンから評価され数の少ないことも人気の一つ。
繊細な食を邪魔しない、引き立て役に徹する優しいワインは、インパクトや個性重視の「主役級」現代ワインとは違う、食事シーンの演出家のよう。
現代表の黒井衛氏は、もっと日常にワインを楽しんで欲しいと、エノログ(醸造家)の内貴麻里氏をはじめ、多くの女性がこの優美な味わい造りに携わっており、このワイナリーに多くの女性ファンがいることも肯けます。
「日本の食には強い飲み物は似合わない、ビールのような感覚でもっとワインに親しんでほしい。」そう語る黒井氏。
そんな寄り添うワイナリーに存在する強いこだわりのピノノワールは、一見似つかわしくないように思えます。京都といえば隠れ家のような名店が数多い所、格の合うようなワインもそっと大事に造っているのかもしれません。
栽培の困難なピノノワールに挑戦し続け、テロワールを表現した日本のワインを目指した結果、この30年を越えるピノノワールは樹齢15年過ぎたあたりから、ここの「ピノらしさ」を安定して表現するようになったそうです。
そしていよいよ2018年は記念すべき年に。
太陽の恵みで素晴らしい出来ばえの葡萄を生み、落ち着きある濃縮の味わいが感じられる秀作が完成。まだ硬さも残るこのワイン、熟成させることで一層の「奥ゆかしさ」を現してくれるはず。日本の食事をイメージして造られたこの繊細なテイストが、食シーンを2・3段引き上げてくれます。
ピノノワールの古樹からのワインは日本では大変珍しく希少で、生産本数もわずか(ピノの古樹はほとんど日本では見かけないですから。)フランス産の古樹ワイン「ヴィエイユ・ヴィーニュ」との違い探しを、飲み比べ楽しんでみたくなりました。 2020年11月中旬発売。
西山泰弘(PSCワイン担当・シニアソムリエ)
「丹波ワイン ピノノワール ヴィエイユ・ヴィーニュ2018 750ml」について
原材料名 |
葡萄(京都産)、酸化防止剤(亜硫酸塩)
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原料葡萄 |
ピノノワール100% |
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京都府京丹波町産 自社畑100% |
アルコール度数 |
13% |
ブレンド
及び保存環境 |
なし
樹齢30年以上古樹のみ使用、手摘
定温倉庫内15ヶ月オーク樽熟成 |
容量 |
750㎖ |
ヴィンテージ |
2018年 表記なし |
生産本数 |
およそ 1600本 |
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「ワイナリー」について

